Stage6はなぜコケたのか?その2

普段適当にWEBを巡回する程度のユーザーにとって、閲覧中に突如現れたポップアップに従ってプログラムをインストールすることはそれなりに勇気のいる作業のようです。このような状況に自分が居合わせると必ず聞かれるのが「これウィルス?」、そんな律儀なウィルスはそういないと思うんですがね。

YouTubeとStage6は再生にそれぞれFLASHとDivX WEBPlayerが必要になるわけですが、ネットをあれこれ回っているうちにいつの間にかインストールされてしまうFLASHと、Stage6を使うとき以外まず遭遇する機会のないDivX WEBPlayerではユーザーの警戒具合がまるで違うのです。

「そもそも見ようとする努力すらしてもらえない」ことをStage6はどこまで想定していたのでしょうか。ライトユーザーのStage6に対する興味の薄さはStage6が使われない→DivX WEBPlayerが普及しない→Stage6の認知度も上がらない・・・の悪循環を生み出し、商業ベースで考えるなら真っ先に取り込まなくてはならないはずの層の引き込みにStage6は失敗してしまいました。

更に良くないことに、品質とカジュアルの綱引きはヘビーユーザーも日常的に行っている選択です。こういうと分かりにくいですが、「重いから使わない」「とりあえず見られればいい」が判断基準になっているのはライトユーザーに限った話ではないのです。

高品質の宿命としてStage6はロードに時間がかかる動画を多く抱えることになってしまい、更に悪いことに高画質を生かせるハイビジョン級コンテンツはそれ以外の動画に比べてずっとずっと数が少ないものでした。

YouTubeが設立されたきっかけ「パーティーで撮った動画を友人と共有したい」、この単純明快な動機にテクノロジーで挑んだStage6は敗れ去ったのです。もしかしたら争おうとしたポイント自体がずれていたのかもしれません。

当面の間YouTubeの覇権は続くでしょう。多くのユーザーが求めるのは圧倒的な手軽さであり、有料の映画配信など一部のコンテンツを除けば、Stage6並のクオリティが評価されるようになる日はYouTube並の手軽さを維持したまま品質を達成できた時まで来ることはないのです。

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このページは2008年3月 1日に書いたブログ記事です。

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