今でもVistaの話題には必ず「XPで十分」という台詞が出てきます。実際、そうなのです。作り手は次のOSのどの機能でユーザーの目を引きつけなければならないのか、その一点において登場前から迷走したVistaは最後まで支持を得られませんでした。
7はVistaの反省を生かしたのか事前に新技術の公表をほとんどしませんでした。「軽い」ことばかり話題になっていた奇妙なOSでしたが、β版がリリースされた今でも「軽い」以外の評価を全く聞きません。もしかすると本当に「軽い」だけなのかもしれません。
こう書くとWindows7はまた失敗作のように聞こえてしまうかもしれません。しかし本来、OSとはそこまで革新的な機能をもたなくてはならないものなのでしょうか。確かにWindows3.1や95はDOS/V機を革命的に進化させてきましたが、それらが初期のPCに足りなかったものを克服して以降のWindowsはハードウェアや周辺環境の変化、いわゆる世界のIT化に沿った改良が加えられたに過ぎません。すなわちXPの円熟とはPC機能の円熟と同義だったのです。
この状況でリリースされたVistaの新機能は、既にユーザーの需要を超えた「別に無くてもいいもの」でした。無くてもいいもののために高スペックなシステムを要求されても、今の機能に満足してしまったユーザーはもうPCを買い換えてくれません。頼まなくても高スペックのパーツを買ってくるマニアにとってはVistaの要求スペックもついでで賄えるものであり、そういう人種に言わせればVistaの機能は「あれば便利」だったのですが。
Windows7がVistaの"渋い機能"を取り込んだだけの「軽い」OSだったとしても、それは評価されるべきものだと思います。アプリケーションがきちんと動いて「あれば便利」な機能を備えていることがOSに求められる条件なのであり、見た目の面白さなどのためにスペックアップを要求するなどというのは作り手の傲慢以外のなにものでもありません。
Windows7のフィーバーぶりにはVistaが駄目だったゆえの反動とでも言うべき、感情的なものが少なからず含まれているのが気になりますが、おおむね完成度の高いOSと見ていいのではないでしょうか。7は市場に受け入れられるでしょう、ただし市場は7に「とても満足」してしまうことを覚悟しておくべきです。
コメントする