Propusという手段を売るための目的

L3キャッシュのないK10であるところのPropusの話題がようやくぼちぼちと出てきたところで、その性能がDenebとあまり変わらないため、差別化できずにAMDが困っているとかなんとか。

PhenomIIが出てきた時に書かれた各所のレビューを読む限り、K10はL3キャッシュの量がパフォーマンスに少なからぬ影響を与えているように見え、それを丸々削ってしまったPropusがDenebと同等の性能を発揮しているというのはどうも納得しがたい話なんですが、消費電力と発熱が減るぶんクロックを上げていったら処理能力がDeneb並になっちゃったとかっていう話なんでしょうか。

TDPが基本的に65Wというのは、Denebコアの発熱状態を見ていてもここからL3キャッシュを削るのなら十分可能そうな話。発熱が少なくて扱いやすく、VGAオンボードのAMDチップセットと組み合わせればそれだけでそこそこ性能のいいシステムが組めてしまうのは、お手軽で理想的ではあるもののPhenomのシェアをAthlonがほとんど食ってしまう危険性も孕んでいます。

実際の用途において、例え性能がPhenomIIから比べて1~2割落ちたとしても、それがクリティカルな問題になるユーザー、そのために電源や冷却装置等への負担を許容できるユーザーがどれだけいるでしょうか。AMDが心配しているのはPropusがDenebの性能と拮抗してしまうことではなく、多くのユーザーが「これでいいよ」と安いほうのCPUを買っていってしまう状態を作ってしまうことのような気がします。

まあ、どうせ性能をもてあますくらいなら安くて消費電力と発熱の少ないCPUを選ぶのは当然であるわけで、自分もPhenomIIとAthlon X4が並んで売られている状態でどちらかを選べと言われたら条件次第ではPropusを選ぶことは十分あり得ると思います。

こちらの売れ筋ランキングを見ても、売れるCPUはせいぜい3万円前後までで、それ以上を選ぶ人は少数派に留まっている様子がうかがえます。Propusは今の市場に非常にマッチした製品だと言えるかもしれませんが、あまりマッチしすぎてしまうのも問題で、AMDの苦悩に対する明確な答えは結局見つからないような気がします。

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このページは2009年7月15日に書いたブログ記事です。

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