iPhone5S登場直前になって、にわかに"LTEバンド"というものが話題になってきました。
auが800Mhzに対応するとかしないとか、docomoが参入したら使える周波数帯はどこになるかとか・・・そういえばスペック表に何番のバンドが書いてあったら喜べばいいんだっけ?
「iPhone5Sの対応バンドとか、どこかに一覧表ないのか?」と調べても見つからなかったので自前で作りました。
バンド | 周波数帯 (Mhz) | au | Softbank | docomo | |
iPhone5 | 1 | 2100 | ○ | ○ | ○ |
3 | 1800 | ○ (ダブルLTE) | 提供予定 | ||
5 | 850 | ||||
iPhone5 (CDMAモデルのみ 上記に加えて対応) | 13 | 700 | |||
25 | 1900 | ||||
iPhone5Sで追加? (LTE バンド26) | 5 | 850 | |||
6 | 800 | ||||
18 | 800 | ○ | |||
19 | 800 | ○ | |||
他にキャリアが 使用中のバンド | 8 | 900 | 提供予定 | ||
11 | 1500 | ○ | 帯域取得 | ||
21 | 1500 | ○ |
【現状の解説】
iPhone5発売当初はドタバタで始まった2100Mhz帯LTEの整備。
auはiPhone用LTEを全く新規に整備するなんて言われてましたが、裏を返せば既に提供しているバンド11・バンド18にiPhone5が対応しなかったので、大慌てで通信網を作ったのが実情でしょう。
auはLTEサービス開始当初から障害物に強い800Mhz帯を主力にする方針をとっており、この方針は今に至るまで変わっていません。蚊帳の外に置かれたiPhone5の評価が芳しくないのはご存じの通り。
Softbankはイー・アクセスを買収し、今年3月から旧イー・アクセスの通信網を使った『ダブルLTE』サービスを始めています。これにより発売当初の2100Mhz帯に加えて1800Mhz帯のLTEも使用可能になっています。
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【バンド26対応の根拠】
バンド26はApple有数の顧客であるアメリカのキャリア・Sprintが帯域を保持しており、今年に入って対応端末がリリースされ始めています。Appleは過去にもSprint回線向けに専用のモデルを供給してきた実績があり、iPhone5で対応しているバンド25もSprintのためだけに実装されていると言っていいレアな帯域です。
これらの傍証から「次期iPhoneはバンド26に対応し、バンド26の一部に含まれているauのプラチナLTEバンド・バンド18も棚ぼた式に使えるようになる」との説が、マニアの間では結構前から語られていました。
自分もiPhone5登場時から「800Mhz LTEに対応したiPhoneが欲しい」とぶつぶつここでつぶやいていたわけですけど、このところauの社長が大はしゃぎで800Mhz LTEを連呼している姿を見るに、iPhone5SがauのプラチナLTEバンドに対応したのはほぼ間違いないんでしょう。なんなんだあの分かりやすすぎるおっさんは。
一方、iPhone5Sがバンド26に対応したとすると、docomoのプラチナLTEバンド・バンド19もこれに含まれることになります。
少し気がかりなのは、auはSprintと同じCDMAモデルを採用しているので異論を挟む余地がない一方で、SprintのいないGSMモデルでもバンド26はサポートされるのかという点。まあiPhone5Sからはdocomoも正式サポートになることですし、まず問題ないとは思いますが・・・。
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【iPhone5SのLTEをめぐる今後の見通し】
iPhone5Sがバンド26に対応すると、唯一サービス可能なプラチナLTEバンドを持っていないSoftbankは再び「つながらないSoftbank」の悪夢にうなされることになりそうです。
打開の切り札となりうる900Mhz帯のバンド8はまだサービス開始前。
そもそもiPhone5Sがバンド8に対応しなかった場合は、将来も含めた回線品質においてiPhone5S機種変更の際にSoftbankを選ぶ理由が大きく損なわれます。
他方Android向けに整備されてきたauの800Mhz帯LTEは現時点でも評価が高く、iPhone5Sが800Mhz帯に対応すればauが"断トツ"になるという話もあながち嘘ではないかもしれません。
しかし切り札を使ってしまった後は控えが無く、安定的なサービス維持のためには、トラフィックをいかにうまく1500Mhz帯、2100Mhz帯に逃がしていけるかが鍵になります。
1500Mhz帯はアメリカでは軍用通信に使われる周波数のためiPhoneに採用される可能性が低いそうで、auとしてはiPhoneのトラフィックを2100Mhz帯に逃がさざるを得ません。またAndroid端末も夏モデルから2100Mhz帯対応が標準になり、なんだかんだ言われつつもauの2100Mhz帯はまだまだ整備が続きそうです。
意外にも(?)iPhoneのトライバンド対応(800Mhz帯、1800Mhz帯、2100Mhz帯)に一番近いところにいるのがdocomo。恐らく発売からしばらくの間はドタバタが絶えないと思いますが、その後の回線整備に注目したいところです。
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勘違いして欲しくないのは"対応バンドをたくさん持っているキャリア=快適"では決して無い点です。
基地局数やアンテナ整備状況など繋がりやすさには様々な要因があり、分かりうる全ての数字を書き連ねても、それをもって「ここが決定版」とは言い難いのです。
自分の行動エリア内で一番電波を掴みやすいキャリアを選ぶのがこの場合の正解です。職場や学校にLTE対応端末を持っている人がいるなら、電波の入り具合を見せてもらって予想を立てるのも手でしょう。現状ではAndroid端末も機種によって対応バンドが入り乱れていますので、機種ごとの対応バンドなども調べつつよく研究してみてください。
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